ハーブティーの血流や健康への影響と注意点

Close-up of hands holding a glass jar filled with colorful dried herbs.

写真: PexelsのYan Krukau氏による写真

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日々の健康維持やリラックスのためにハーブティーを取り入れている方は多いでしょう。しかし「血流が良くなる」「体が温まる」といったイメージが先行し、実際の効果やリスクについてはよく知られていないのが現状です。特に、冷えやむくみ、疲労感など血行に悩む方にとって、ハーブティーの働きや安全性は気になるテーマです。本記事では、最新の科学的知見をもとに、ハーブティーの血流や健康への影響、注意点について詳しく解説します。

ハーブティーと血流・循環の基礎知識

ハーブティーはさまざまな植物の葉や根、花などを用いて作られ、伝統的に健康維持や症状の緩和を目的に利用されてきました。中でも、東南アジアで用いられるRhinacanthus nasutus(リンカンサス・ナスツス)は、タイの伝統医学で血流促進や高血圧、炎症性疾患の対策として飲用されてきた歴史があります[2]。また、Tetrastigma hemsleyanum(シソツル)は中国伝統医学で血液循環促進や炎症抑制、解毒など多彩な効能があるとされ、臨床現場でも発熱や肝炎、蛇咬傷などの治療に使われています[1]

ただし、これらのハーブティーの血流改善効果については、主に伝統的な経験や動物実験、基礎研究が中心であり、ヒトを対象とした大規模な臨床試験はほとんど行われていません。そのため、効果の程度や安全性にはまだ不明な点が多いのが現状です[2]

科学的に示唆される主な効果と事例

Rhinacanthus nasutusの葉を用いたハーブティーは、一般向けに「血流改善」「高血圧対策」「抗炎症」などの目的で販売されていますが、これまでに臨床試験による有効性の証明はなく、長期摂取の安全性も未検証です[2]。一方、Tetrastigma hemsleyanumは、血液循環促進や痛みの緩和、炎症抑制など多様な効能があるとされ、実際に臨床現場で用いられてきました[1]

しかし、2025年の症例報告では、50歳女性がTetrastigma hemsleyanumを3日間服用した後、倦怠感や食欲不振、黄疸、尿の色の変化などの症状を呈し、肝機能検査でALT 1386 U/L、AST 405 U/Lと著明な上昇が認められました。肝不全と診断され、ハーブの中止と肝保護治療、栄養サポートなどの処置で11日後に症状は大きく改善しました[1]。この事例は、ハーブティーの中には重篤な副作用を引き起こす可能性があることを示しています。

実践時のポイントと安全な取り入れ方

ハーブティーを日常生活に取り入れる際は、以下の点に注意しましょう。

  • 成分や原材料の確認: 購入前に使用されているハーブの種類や安全性、過去の副作用報告の有無を調べることが重要です。
  • 体調や既往歴の考慮: 肝機能障害やアレルギー、基礎疾患がある方は特に慎重に。服用後に倦怠感や食欲不振、黄疸、尿の色の変化などが現れた場合は、速やかに医療機関で肝機能検査を受けることが推奨されます[1]
  • 長期・多量摂取の回避: Rhinacanthus nasutusなど一部のハーブティーは長期摂取の安全性が未確認であり、過剰摂取は避けましょう[2]

また、ハーブティーの摂取による効果や副作用は個人差が大きく、同じハーブでも体質や健康状態によって反応が異なる場合があります。

注意点と限界

ハーブティーの健康効果については、伝統的な経験や動物実験、基礎研究に基づく知見が多く、ヒトを対象とした信頼性の高い臨床試験は限られています[2]。特に、Rhinacanthus nasutusのように販売されているハーブティーでも、実際の効果や長期的な安全性は十分に検証されていません。また、Tetrastigma hemsleyanumのように、まれに重篤な肝障害を引き起こす可能性もあるため、摂取には十分な注意が必要です[1]

健康食品やハーブティーは「自然由来だから安全」とは限りません。体調の変化や異常を感じた場合は、自己判断せず医療機関に相談しましょう。特に、脂肪不耐、黄疸、食欲不振、吐き気、尿の色の変化などが現れた場合は、肝障害の可能性も考慮し、速やかに受診してください[1]

まとめ

  • ハーブティーには伝統的に血流促進や健康維持の目的で用いられてきた種類がある[1][4]
  • Rhinacanthus nasutusやTetrastigma hemsleyanumなどのハーブが知られているが、ヒトでの効果や長期安全性は未確立[1][4]
  • Tetrastigma hemsleyanumの摂取で肝不全を発症した症例が報告されている[1]
  • 体調不良や異常を感じた場合は速やかに医療機関を受診することが重要[1]
  • ハーブティーの摂取は成分や体質、既往歴を考慮し、無理のない範囲で行うことが推奨される[1][4]

FAQ

Q1: ハーブティーは血流改善や高血圧に効果がありますか?
伝統的に血流促進や高血圧対策を目的としたハーブティー(例:Rhinacanthus nasutus)が販売されていますが、ヒトを対象とした臨床試験で有効性が証明された例はありません。効果には個人差があり、科学的根拠は限定的です[2]

Q2: ハーブティーの摂取で注意すべき副作用はありますか?
Tetrastigma hemsleyanumの摂取により、肝不全を発症した症例が2025年に報告されています。倦怠感、黄疸、食欲不振、尿の色の変化などが現れた場合は、速やかに医療機関で肝機能検査を受けることが推奨されます[1]

Q3: ハーブティーは毎日飲んでも安全ですか?
Rhinacanthus nasutusなど一部のハーブティーは長期摂取の安全性が検証されていません。体質や既往歴によっては副作用のリスクもあるため、過剰摂取を避け、体調の変化に注意しながら適量を心がけてください[2]

参考文献

  1. [1] Liu Y, Zhou X, Wang QF, Liu MW. (2025). A case report of liver failure caused by Tetrastigma hemsleyanum Diels et Gilg: A rare case report and literature review.. Medicine. Link
  2. [2] Brimson JM, Prasanth MI, Malar DS, Brimson S, Tencomnao T. (2020). Rhinacanthus nasutus "Tea" Infusions and the Medicinal Benefits of the Constituent Phytochemicals.. Nutrients. Link

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