五十肩の新しい治療法と日常生活のヒント
ぺん太
肩の痛みや動かしづらさに悩んでいませんか？五十肩（凍結肩）は、年齢や生活習慣に関係なく多くの人が経験するつらい症状です。服を着る、髪をとかすなど、日常の動作が制限されることで不安やストレスも感じやすくなります。新しい治療法や日常の工夫を知ることで、少しでも快適な生活を送るヒントが見つかるかもしれません。
五十肩（凍結肩）とは？
五十肩は、肩関節の痛みや可動域の制限が特徴の疾患で、中高年に多くみられます。原因ははっきりしないことが多いですが、肩の関節包が硬くなり、動きが悪くなることで発症します。日常生活に支障をきたすことも多く、適切な治療やケアが求められています。
薬物鍼治療（ファーマコアクパンクチャ）とは
薬物鍼治療は、鍼治療のツボに薬液を注入することで、肩の痛みや動きの改善を目指す治療法です。従来の鍼治療や薬物療法とは異なり、両方の特徴を組み合わせている点が特徴です。近年、五十肩に対する有効性や安全性を評価した研究が増えてきています[1]。
主な効果と研究結果
2024年のシステマティックレビューとメタ解析によると、薬物鍼治療は五十肩の痛み（VASスコア）、肩の機能（Constant-Murleyスコア）、日常生活動作、可動域の改善に対して一定の効果が認められました。特に「日常生活動作」や「肩の動き」の改善については中等度の質のエビデンスが示されています。また、生活の質（QOL）のうち、身体機能や社会的役割、精神的健康、感情面の指標でも改善が報告されました。一方で、肩の筋力そのものへの明確な効果は確認されていません。副作用としては、ごく軽度のアレルギー反応（蜂毒使用時）が1件報告されていますが、重篤な副作用は認められていません[1]。
日常生活でできる工夫
五十肩の症状を和らげるためには、治療と並行して日常生活でできる工夫も大切です。
- 無理のない範囲で肩を動かす: 痛みが強くない範囲で、軽いストレッチや肩の運動を取り入れましょう。
- 冷えや過度な負担を避ける: 肩を冷やさず、重いものを持つなどの無理な動作は控えましょう。
- 生活リズムを整える: 睡眠や休息をしっかりとり、ストレスをためないことも回復につながります。
- 症状が続く場合は専門家に相談: 自己流のケアで悪化させないためにも、医療機関で相談することが大切です。
注意点と研究の限界
薬物鍼治療の効果には個人差があり、すべての人に当てはまるわけではありません。また、現時点で得られているエビデンスは「低〜中等度」の質にとどまっており、今後さらに質の高い研究が必要とされています。副作用のリスクは低いとされていますが、アレルギー体質の方や不安がある場合は必ず医師に相談しましょう。治療法の選択は、症状や生活環境に合わせて慎重に行うことが重要です。
- 五十肩は肩の痛みや動きの制限が特徴。
- 薬物鍼治療は痛みや日常生活動作の改善に一定の効果が期待できる[1]。
- 肩の筋力への効果は明確ではない。
- 副作用は少ないが、アレルギー反応に注意。
- 日常生活の工夫も症状緩和に役立つ。
- 治療法の選択や継続は専門家と相談しながら進めることが大切。
よくある質問
Q1. 薬物鍼治療は誰でも受けられますか？
A. 薬物鍼治療は多くの五十肩患者さんに適応されますが、アレルギー体質の方や持病がある場合は注意が必要です。特に蜂毒など特殊な薬剤を使用する場合、まれに軽度のアレルギー反応が起こることがあります。治療を希望する場合は、必ず医師や専門家と相談してください。
Q2. どのくらいで効果を感じられますか？
A. 効果の現れ方には個人差があります。研究では、痛みや日常生活動作の改善が報告されていますが、すぐに劇的な変化があるとは限りません。治療を継続しながら、無理のない範囲で肩を動かすことも大切です。症状が改善しない場合は、他の治療法も検討しましょう。
Q3. 日常生活で気をつけることは？
A. 肩を冷やさない、無理な動作を避ける、十分な休息をとることが大切です。痛みが強いときは無理に動かさず、症状が落ち着いているときに軽い運動やストレッチを取り入れるとよいでしょう。症状が長引く場合や悪化する場合は、早めに専門家に相談してください。
参考文献
- Pharmacoacupuncture for the Treatment of Frozen Shoulder: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Current pain and headache reports, 2024. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39096470/
